こんにちは、山形東高卒・東大卒プロ家庭教師のBPです。
既に他塾に通っていたり家庭教師をつけているものの、「このままその方針に従って勉強を続けていって本当に良いのか?」と不安を感じた生徒さん・保護者の方が、いわゆるセカンドオピニオンを求めてスゴラボに相談にいらっしゃるケースが増えています。
先日、ご相談の中で生徒さんから、ご友人が「過去問を解こうとしたら家庭教師に叱られた!」というショッキングなお話を聞きました。
この件に関する私の考え方を今回はお話します。
過去問はやっちゃだめ?「過去問不要主義」の家庭教師について考えてみた
「過去問は解くな!」事件の詳細
そのご友人(以降、Aさんとします)は受験を控えた高校三年生です。
夏休みに入り、センター試験の過去問を解こうとしたら、担当の家庭教師に「そんなのまだ早い。センターの過去問なんて11月になってからで良い!」と言われたそうです。
さらに、志望大学の赤本を解こうとしても「やっちゃダメ!」と言われたとのこと。
この家庭教師は結局、過去問に関する質問にも全く答えてくれようとしないらしいです。
その結果、Aさんは家庭教師に隠れてこっそり赤本をやっているらしく、「質問に答えてくれないなら家庭教師の意味無いよね」とボヤいているとのこと。
全くその通りですよね!
この話が本当ならば、この家庭教師はその役割を全く果たしていません。
同業者として、悲しくなってしまいます。。。
「過去問は解くな!」の根拠を推測してみる
どうしてこの家庭教師は「過去問は解くな!」と言うのでしょうか?
この家庭教師に直接聞いたわけではないので、真意は分かりません。
私は下記でも書いているように、志望校が決まったらすぐに過去問にぶつかるべきという「過去問ファースト」主義です。
「過去問は解くな!」派とは真逆の立場の私が、この家庭教師の主張の根拠を推測してみますね。
(多分に私の邪推が含まれておりますことをお詫びしておきます。)
仮説1:力が付く前に過去問をやると、解けなくて凹んでしまうから
確かに実力不足で過去問にチャレンジした場合、ほとんど解けずに生徒がショックを受けることが予想されます。
生徒思いの家庭教師ならば、「可哀想だからそんな思いをさせたくない」と考えるのかも知れません。
でも、それが本当に生徒のためになるのでしょうか?
そのショックは避けるべきものなのでしょうか?
私はそうは思いません。
過去問を最初に解いた時のショックは、受験勉強に不可欠な「危機感」に繋がるはずです。
凹んでしまうから避けるのではなく、凹まないように導くのも家庭教師の仕事ではないでしょうか?
力が付くまで待ったとして、受験直前に過去問を解いてみた時にもし解けなかったら、もう絶望しか無いですよね。
だったら早めに現実に気づいて「このままじゃヤバい!」と実感してもらう方が良いと私は考えます。
仮説2:「力があれば得点は取れる。過去問演習は重要ではない。」と考えているから
実力があれば得点は取れるのはもちろんその通りなのですが、実力以上の結果を出させるのがプロ家庭教師の仕事だと思うんです。
そりゃもちろん、全方位的に実力が付いて、どんな問題が出てきても解けるようになるのが理想ですよ。
でも多教科で戦わなければならない受験勉強において、そんな悠長なことをやっている余裕があるでしょうか?
受験勉強は時間との勝負です。相手(=志望校の入試問題)を研究して戦略を練り、相手に合わせた戦い方をするのは必須なんです。
それから、小手先のテクニックで点を取るなんて邪道だ!と正攻法ばかり重視する家庭教師もたまにいますよね。
もっと柔軟に考えましょうよ。
我々家庭教師の存在意義は、一点でも多く本番で取れるように得点力を付けること。
そのためには、小手先の技術でも何でも、使えるものは何でも使えば良いと私は考えます。
仮説3:過去問よりも効果的な勉強をさせる教材がある?
過去問を解くよりも効果的な教材があるなら、それは素晴らしいですね!
市販でもよく練られた教材は多くありますし、もしかしたらその家庭教師オリジナルの教材かも知れません。
こういう理由ならば、きちんと生徒にその教材の効果を説明して、安心させてあげて欲しいですね。
仮説4:決まったテキスト以外のことはさせたくないから
長年指導に使っている問題集や参考書があれば、生徒にどこを質問されても当然答えられるはず。
特定のテキストに固執するのは、そうでない教材(赤本等)について質問されたときに答えられないからかも知れません。
家庭教師は、全ての質問に即答する必要は無いと私は考えています。
もちろん即答できるのに越したことはありませんが、たとえできなかったとしても、それを利用して生徒に学びを与えられればそれで良いですよね。
すぐに解けない問題について生徒の前で試行錯誤するのは、問題解決の糸口を探すアプローチを学ばせる良い機会になりますし、
自分の理解が正しくなかったときにその修正過程を見せることは、生徒に「間違った問題について正しい知識を調べ、それを理解・納得する手順・方法」を示す貴重な機会となります。(うまく言語化できていません。すみません。)
ですから、生徒の前で迷ったり間違ったりすることを過剰に恐れる必要は無いと思うのです。
仮説5:家庭教師ではなく、複数の生徒に同時並行で定型的に指導する「個別指導塾の教師」だから
この話題の主が、実は家庭教師ではなく「個別指導塾の教師」だった、という仮説です。
一般的な個別指導塾では、一人の教師が同時に複数生徒に指導します。
その時間に使用するテキストと問題が決まっていて、それ以外の質問には対応しません。
定形的な対応に限定することで、経験や知識の少ない学生アルバイトでも対応でき、指導単価が低く抑えられるため、近年人気の出ている形態ですね。
そんな個別指導塾なら、通常使用のテキストとは異なる過去問の質問対応などできるはずはありません。
ちなみに個別指導塾を否定しているわけではありませんが、私は嫌いです。その理由はまた別途書きますね。
仮説6:自分の指示通りに動かないのが気に食わない
次は、赤本をやることがNGなわけではなく、「自分の指示以外のことを生徒が勝手にやろうとした」ことに腹を立てているという仮説です。
まさかとは思いますが、そんな家庭教師、さすがにいないですよね?
いないと思いたいです、はい。
BPはこの家庭教師には賛同できません!
断片的な情報を又聞きで、さらに私の推測でお話しているので、ここまでの議論は実状にそぐわない可能性があります。
より詳しい情報が分かり私が誤解していることが発覚すれば、修正する可能性があります。
あくまでその前提でですが、現時点で私はこの家庭教師には賛同できません。
この家庭教師に賛同できない理由1:「過去問ファースト」ではない
まず、私の「過去問ファースト」主義に反するという点から、私はこの家庭教師の考え方には否定的です。
「過去問は直前に腕試しで解くべき!」というような前時代的な発想で、受験生の足を引っ張って欲しくないと心から思います。
でもそれは主義主張の話。私と意見が違うだけでダメ出しをするのは良くありませんね。。。
この家庭教師に賛同できない理由2:説明責任を果たしていない
何よりマズいのは、この家庭教師がAさんに、過去問をやってはいけない理由をきちんと説明していないこと。
叱責するだけや一方的な説明だけでは生徒には伝わりません。生徒がやりたいことを止めるならば、生徒が納得するまでとことん説明する義務と責任が家庭教師にはあります。
それ無しでは、生徒は不安を募らせてしまうばかり。
受験生はとても繊細です。それでなくても多感な思春期に、大学入試という得体の知れない怪物に挑もうとしているんです。
そんな生徒を一方的に叱責するだけでは、生徒にフラストレーションが溜まってしまい、受験勉強の質が落ちてしまいます。
長年このお仕事をしていてそんなことも分からないのだとしたら同業者として悲しくなります。
私が親なら、こんな家庭教師はクビにしちゃうかも知れません!
Aさんのような思いをしている生徒さんは他にも多いかも知れませんね。
そんな方はぜひ一度、スゴラボにセカンドオピニオンを聞きに来てください!