東大卒プロ家庭教師BP(山形県山形市の学習塾スゴラボ)のブログ

勉強法・赤本・教材マニアである東京大学卒のプロ家庭教師・塾講師BPのブログです。山形東高から東京大学工学部計数工学科卒業。現在学習塾スゴラボ(山形県山形市緑町)を運営しつつ個別指導塾CASTDICEにも参画しています。

「ブラック受験生」第2弾:過去問に取り組む具体的アプローチ


こんにちはBPです。国公立大学二次試験(前期)まであと1週間となりました。多くの受験生にとって最重要ターゲットである2024年2月25日が目前に迫り、脇目も振らず集中して一生懸命勉強しているはずです。

前回の記事では

  • 「すべてを出し切る!」覚悟を決める
  • 徹底的に勉強時間確保する
  • よそ見をしない
  • 毎日1年分の過去問に取り組む

ということをお伝えしました。

それに対して「過去問に取り組む際に具体的にどのようなアプローチをすべきか?」という質問をいただきましたので、ここで補足いたします。

 

前回の記事はこちら。

sugolabo.hateblo.jp

 

 

※今回述べる以外にも細かなテクニックは多くあります。個別の状況に応じた最適なアプローチについてのアドバイスが欲しい方はスゴラボにお問い合わせください。(フォームよりも電話の方が早いのでお急ぎの際はお電話でご連絡ください。不在の場合は折り返します。)

過去問にほぼ手を付けないまま残り1週間という危機的状況の場合

ここでは、志望校の過去問に(全くorほとんど)手をつけずに残り1週間となってしまったケースを想定しています。つまり、過去問を開いてすらいない方だけでなく、漠然と過去問を少し解いてみたものの、それ以降、分析や対策をせずに直前になってしまった方も対象です。ほとんどの受験生はそんな状況に陥ることはないと思いますが、ごく一部、このような危機的な状況に陥っている方が毎年いらっしゃるのでそのような方へのメッセージです。

合格可能性を0.1%から5%に上げる悪あがきをしよう!

この短期間に、付け焼き刃の対策で、合格点を目指すのですから、ギャンブル的でいびつな形の勉強であることはご理解いただけると思います。合格可能性でいうと、0.1%の人を5%に上げるようなイメージです。たった5%弱上げるだけですが、それでも合格率でみると50倍アップですから、直前まで悪あがきする価値は十分にあると私は考えます。

宝くじは、買わなければ絶対に当たりません。このまま何もせずに受験当日を迎えてしまったら、ほぼ確実に不合格でしょう。それなら、少しでも可能性を広げるように行動すべきですよね!

過去問のブラックな取り組み方

先日の記事で、まだの人はとにかく1年分に目を通しましょう。その際の注意点を下記します。

合格最低点を取るために科目毎の目標点を決める

多くの大学では毎年合格者最低点を発表しています。今回目指すのはこの合格者最低点です。例えば数・英で300点満点のうち合格者最低点が180点なのであれば、得意不得意を鑑みて「本番で数学80点、英語100点取る!」というように科目毎のターゲット得点を決めます。

科目毎の目標クリアのために必要な問題を選び出す

その上で実際の問題をみて、科目毎の目標点をクリアするためにどの問題(大問・設問)を正解すべきかをセレクトします。「大問1は完答、大問2は(1)だけ、大問3は(1)(2)まで」というように決めてください。この際、問題セレクトに悩んでしまって時間を掛けすぎるのは愚策です。難易度の見積もりや解くべき問題数が多少不正確でも構いませんので、直感で決めてしまいましょう。

設問ごとに解き、手が止まったら解説を読む

本来ならば時間があれば、時間を測ってその科目の全問を解き採点して解説を読んで・・・と進めたいのですが、そんな時間はありませんよね。今回は設問毎に取り組みます。解こうとしても手が出ないかもしれません。手が止まってしまったら、躊躇せずにすぐに解説を読んでください。

問題を解くのに必要最低限のエッセンスをインプットする

解答・解説を読む際には「どうしたらこの解法を思いつくのだろう?」という疑問は封印してください。(本来は力を付けるためにむしろこの部分にこそ重点をおくべきなのですが、一か八かのブラック勉強法ではその部分はあえて切り捨てます。)とにかく目の前の問題を解くために必要なエッセンス(知識や解法)を拾い集めることだけに集中してください。ここで目指すのは「この問題だけは解ける」という状態です。欲張らずに「全く同じ問題が本番で出たら、そりゃ解けるよね」という境地を目指すのです。

過去問に取り組む上での正攻法とは

ここで、過去問を用いて受験勉強を行う際の正攻法について考えてみましょう。(時間のない受験生は飛ばしていただいて構いません。)問題分類・解答時間・総合得点を下記のようにレベル分けしてみます。

  1. 問題分類
    • レベル1:既知の問題(過去問)
    • レベル2:初見の問題(本番)
  2. 解答時間
    • レベル1:時間を掛けても解けない
    • レベル2:時間を掛ければ解ける
    • レベル3:制限時間内に解ける
  3. 総合得点
    • レベル1:合格最低点未満
    • レベル2:合格者最低点以上
    • レベル3:合格者平均点以上

多くの場合、志望校の入試本番で「初見の問題」を「制限時間内」に解いて「合格点を確実に上回る」ことが受験勉強の目標となりますので、

  • 【問題分類】ではレベル2:初見の問題(本番)
  • 【解答時間】ではレベル3:制限時間内に解ける
  • 【総合得点】ではレベル3:合格者平均点以上

に到達できるよう、勉強を積み重ねていくことになります。 (ただし、新しい問題は無限に作れますので、すべての初見問題を解けるようになるのは理論上不可能です。したがって現実的には【問題分類】はレベル1で訓練を積む他ありません。)

ブラック勉強法の目指すレベル

一方で、短期間でギャンブル的に逆転合格を狙うブラック勉強法の場合は

  • 【問題分類】ではレベル1:既知の問題(過去問)
  • 【解答時間】ではレベル2:時間を掛ければ解ける
  • 【総合得点】ではレベル2:合格者最低点以上

を目指すわけです。要するに、既知の問題であれば時間さえ掛ければ合格者最低点を取ることができる、という状態にもっていくのです。

当然これだけで十分なわけではありませんが、合格確率がほぼゼロな状況を少しでも打破するために今できることは、最低レベルを上記のように定義して直前まで過去問に取り組むことです。これを過去問1年分だけやったところで、合格率は1%に満たないでしょう。これを5年分やれば2%位にはなるかもしれません。10年分やれば5%ほどになるのではないでしょうか。

これは、解く年数が増えれば経験の蓄積により解答力が上がってくるので、解答時間と総合得点のレベルも改善が期待できるからです。特にまだ蓄積が足りないのであれば、1年分で得られる経験値の上げ幅はかなり大きいといえます。これが、とにかく10年分の過去問を解いてほしいと力説する理由なのです。

残された時間を最大限活用しよう

受験勉強はとにかく最後まで走り切ることが何よりも大切です。まだまだできることは残っています。入学試験直前まで力を振り絞って頑張ってください!